シェラ・デ・コブレの幽霊

ADHDでASDで双極性障害2型で不眠。生きてみよう!

もう私はわたしでいい。「少年は荒野をめざす」あらすじと感想ではない気がする文章

今年は小説を書きたい、と思っている。

実は自分は元々小説家志望であった。小学6年生ですでに地方イベントに行っていたし、中学生になったらコミケにも行ったし、すぐ猿真似をしたがる私は聖闘士星矢の同人誌を作ったりしていて、漫画も小説も書いていた。
そして、あるとき自分は小説の方が向いているなあと思ったのだった(実のところなぜか絵で食っているがどっちを取った方が良かったのかはわからない)そして中学生から高校生にかけて小説を書きちゃんと短編を完成させて投稿までしていた。中3だったかの夏休みには原稿用紙200枚の小説も書き上げた。今みると多分恐ろしいものだったと思うけど、文章の表現力はなかなかじゃなかったかと思う。

元々このブログもポエム置き場だったりしたこともある。

…話が逸れた。

 

自分がどれくらい女であることを嫌っていて、こじらせながらも生きてきたこと、その発端をここに書いたかはおぼえていない。

ただ、今年小説を書きたい、と思いとりあえず短編で胡蝶の夢をテーマにしてなにか、と思ったとき自分の中の兄像を思い出したのだ。

なので、私がこじらせた理由の中のひとつである「少年は荒野をめざす」を再読した。

何回目かはわからない、吉野朔実が亡くなったときについとっさにKindle版を買ってしまったのだけど、実家に電話してみたら単行本もあった。とても繊細な絵なのでできれば単行本で読んで欲しい。線が飛んでしまったりしてKindle版は良いとは言えない。スキャンした人が悪かったのか。自分の方がうまくできる…。

 といいつつKindle版のURLを貼ったりするけど。

どうせ作者も死んでしまったのだし、お金が入るわけじゃないから古本で買えばいいと思う

 私がこれを読んだのは中学生の時。自分は中学ではメンタルと生理が大変よろしくなく、頻繁に微熱がでたり吐くようになったので、結構保健室にいることが多かった。相変わらず40度の熱がでることや生理が一ヶ月続いたりすることもあったけど体育教師は走れって言ってきたし親は汚れたパンツは自分で洗いなさいとお風呂でずっと下着の下洗いをやらされた(今考えるとだったら洗剤くらいよこせよな)し、生理が重いとかそういうことを相談する相手もいなかった。あと、好きな人がいた。今考えるとろくでなしの今井君は、まあまあイケメンだったと思う。字が綺麗で、何が好きだったかわからなかったけどプレゼントを買って渡したりした。結局お返しをもらったことはなかったし、はじめての告白したらふられたので一晩泣いて次の日親友2人と親友の彼氏(めたくそいいやつ)とうちで酒を飲んでいたら、なぜかその飲み会に現れるというよくわからんやつだった。(その後のくだらない話もあるけどそれはまた)

そして自分はそんなときにこの漫画と出会ってしまった。

まずこの漫画のあらすじというかオチまで話すので、イヤな人は読まないで下さい。
あと、自分はあらすじを書くのが大の苦手です。

 

 

へったくそなあらすじ(もっとはしょってよかったな)

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 主人公狩野都は中3の女子。狩野が5歳まで生きていた体の弱い7歳上の兄がいて、兄の代わりに彼にいろんなことを伝えて生きてをいたので兄と自分を混同してしまっている。
兄が死んだ時まわりは忘れさせようとしたが狩野がは5歳にして自分をやりなおさなくてはいけなくなってしまった。実際中3の狩野は野球馬鹿とインテリ美形の男の子(狩野が好きで告白してちぐはぐになるが野球バカに仲直りさせてもらったりしている)と3人組でつるんでいて、まわりから浮いてはいるが楽しくやっている。
自分を吐き出すために兄と自分のことを小説書いた小説が同人誌に掲載され、インテリ美形の兄(編集者)の目に止まり、賞を取ってしまう。
同時に高校に行きたくないと言い出すが、とりあえずと仲良し3人で見に行った高校見学で運命の出会いを果たす。それが「もうひとりの(男である)自分」陸上部のエース陸である。実際ふたりはとても見た目が似ていた。都は陸のために高校を受験する。その間に大人の介入があったりするんだけど、まあその辺は置いとく。
陸はとにかく告白してくる女の子と誰でも付き合う。誰も好きじゃないからだ。陸は父親に認知されてない(父は陸が産まれたのも知らない)連れ子である
ここにも狩野を狙う変なファンに陸が変わりに刺されたり、狩野が小説を書けなくなったりしているがまあ割愛。

陸はアラスカから来た父親に合うことができず、唯一甘えて長く付き合ってた彼女(が父をアラスカから呼んだ)にも振られ、行方不明になる。
自分を喪失したように感じる都と都が抑圧から開放されたように見える陸(要するにお互いを重ね合っている)は街で出会ってしまい、ふたりで自殺を企てるが結局電車が来る反対のホームに飛び込んだりして失敗を重ねる。
結局学校の屋上から都が飛び降りるも陸が助け、大騒ぎになってしまう。

陸はアラスカに行く決意をし産んだ母から「お前を産んだのがまちがいでした」といわれ、唯一心を許していた犬も死んでしまう。
都はかつての親友ふたりといろいろあって出来た女の友達と無事を喜び合う。

都と陸はお互いを「鏡のようだった」「同じ夢を見た」と結論付ける。いつか会おうと約束するが「きっとそのときは似てないね」と言い合う。

都は最後に陸にキスをし「女の子の自分を取り戻した」(なんと言えばいいのか一応漫画家の自分でもわからないんだけど四角いふきだしの中にはそう書いてある)
陸は都が賞を取った小説の最後好きだった、と言い別れる。都は「狩野が狩野であるために この肉体をかんじつづけるために」(原文まま)書けなくなっていた小説を書き続けなければならない、と感じる。
都が頼っていた大人もいなくなり一人になり、
都が書いて賞を取った「少年は荒野をめざす」のラストシーンで話は終わる。

 

ふり向くと

私の記憶から
とき放たれた夢の少年は

荒野をめざして
走っていくのだ

あの時
そうしようと
したように

何処までも

 

何処までも

 

(原文まま) 

 漫画もこの文を引用し、走っていく都の絵で終わっている。

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そうか、都は女の子を取り戻したのか。
本当か?狩野(って言ったり都って言ったりすまんが)は自分を保つためにこれからも書くと言っているが自分を持たない高校一年生のこどもだ。
女であることがイヤな故に一回生理が来たものの意思の力で止めてしまうが、自分の変わりに陸が刺されたショックで生理が来てしまうシーンなどもある。
このあと都がどうやって生きていくのか、わからないまま唐突に話は終わる

母親が都に兄のことを忘れさせようとしたことを反省するシーンなどもあり、親友は親友のままでいてくれるようだ。
都はこのままどうなるのか?

夢の少年からは解き放たれたかもしれない、だけど自分に何があるのか。なにもなくなっただけではないだろうか。
親と少し邂逅したりするかもしれない、そうやって書くことを武器に成長するかもしれない。ただ、都は結局なににもなれていないまま、話は終わる。

 

私じゃん。

当時中学生の私は狩野にクソ影響されてしまった。なにせ兄が(うちは死産だけど)いた事、自分を女だと思いたくないこと、小説を書いていること、中学校のクラスがとても仲良かったこと、中学の時女子だけど今考えると超いいヤツの2人の親友と3人でよくつるんでいたが高校に入るとき別々になってしまったこと(学力は見事にばらばらだった)高校に行きたくないと主張したが結局誰も味方になってくれなくて、仕方なく好きな男が受ける高校を受けたこと。高校を3人で見学に行った日に吐いたとこまで一緒だ。死んでもいい、自分がないところも今考えると同じだ。

再読で感想を、と思ったけど特にない。これは狩野の成長の話であるはずだ。
果たしてそうか?

狩野は何を得た?まわりは成長していった。狩野は「女の子を取り戻した」はずである。

しかしこのあと普通に男の人と付き合ったり妊娠してこどもを産んで家庭を作るようになるとはとても思えない。空っぽの自分に女の子であることを無理やり肯定させられたように思う。そもそも作者がこれを幸せな物語として描いてるかというとそうとも思えない。

 

ただ、私は中学でこれを読んで「そう!そう!」と狩野に自分を重ね、兄の存在を自分の中で大きくしてしまった。
そのあと兄の遺骨の話とか墓参りに勝手に行く話とかあるんだけど、まあ45にして子宮取りたいとかいいだすまでこじれたまんま、生きてきた。

 

そして作者は死んでしまった。

2016年、57歳没。
生きてるときから「ご飯食べるのが面倒」などと発言したり、割と希薄な雰囲気の人だったと聞く。
本を読むのが好きだったらしい。
自分はそのあとジュリエットの卵でも双子フェチなので刺さったりもしたけど、なんだかその後だいぶ経ってから「記憶の技法」を読んであれ?なんか違うなと思って読まなくなった。一応瞳子と亡くなってから出た本は持ってるが、(ちなみに狩野の母は瞳子という名前だと再読して気付いた)なんかやっぱり違うな、と思った。

あと、Amazonで検索したら少年は荒野をめざすの下に「僕たちは愛されることを教わってきたはずだったのに 二村 ヒトシ」が出るので笑ってしまった。

 

結局再読して気付いたこと。

自分の深いところにまた傷を折ってしまった。いい加減卒業すべきところから卒業出来ていない自分がいることは確かであるしこの本から結論はでてこない。

狩野が友達とうまくやっていければいいなと思うが、親や友達とのシーンは割とあっさりと書かれている。実際私は自分の不義で中学生の時の親友ふたりとは高校3年を最後に縁が途切れている(30歳くらいのときやった同窓会で仲直りして一人はうちの実家に泊まっていったけどね)
二十歳くらいのときに転機があって友達を大事にするようになったので、人の大事さを噛み締めながら生きている自分を今はとても素晴らしいと思っている。

あとひとつ

ひとつだけ得た結論がある。

 

私は、わたしだ。

さすがに自分は大人になった
私はこれでいい。これでいいのだ。

 

 

追記*1

 

*1:いつも余計に書きすぎるな、と反省してるので追記の形で。まず自分が人に物語を説明するのが下手すぎることに落ち込んでしまった。日記にあらすじを書くのに間違ってはいけないと思い何度も読み直し傷をえぐってしまった。これでいいと思うのは確かだけどこの日記に時間をかけすぎて反省している。(あらすじを説明する必用はなかった)それと同時に私はわたしとひらきなおってここでの名前をPNにしたのだけどそれは間違ってると思ったので無名に戻ります